Francis Campelli “STAIN COLLAR COAT”
Francis Campelli “STAIN COLLAR COAT”
新しいブランド、「Francis Campelli(フランシス キャンペリ)」をご紹介します。
入荷以来幾日か経っているわけですが、正直な話、
ブログで取り上げるのをためらっている節がありました。
間違いなく濃厚・長大な投稿になるのは目に見えていたものでして。。
いつかはご紹介しなければならないところ、
タイミングを計っていたわけですが、ここ2日の雨・強風模様であれば、
取り上げる機は熟したというものです。
前説は短く切り上げ、深遠なるゴム引きコートの世界へ下り立ちましょう。
覚悟はいいか?
私も整いました。。
まずはここからでないと概要が見えてこないと思いますので、
薄汚い私物を開陳。マイ・マッキントッシュ。
「マッキントッシュ(名詞)=ゴム引きコートの意」で知られているくらい、
超が付く名門ブランドというのは、どこかで聞いたことがあるかも知れません。
創業者のチャールズさんは発明家としての顔もあり、商売っ気もあったので、
ゴム引き(布)の製造ライセンスをロンドンやマンチェスターの業者にも
委ねていったわけですが(そのうちのひとつに「レインチーター」がありますね)、
とあるマンチェスターの会社が、アイルランドのダブリンに進出します。
それが1934年のこと。これで話がつながってきました。
戦前から続く老舗企業になる、「Mackintosh Rainwear Ltd」。
ただこういった伝統に基づく特殊な布地ですので、現代だと需要も少なくなり、
おまけにハンドメイド出来る職人さんも高齢化(確か80歳超え、お爺さん一人のみとか)
という事情から、新しい布地開発に着手します。
その結果出来上がったのが、↑でご覧頂ける“Double Texture Cotton”。
新しい素材であれば、新しいデザインやマーケットに乗り出すのが定石です。
そこで白羽の矢が立ったのが、本家マッキントッシュで35年以上
製品作りに携わっていたキャンペリさんその人。
ご本人の名を冠したファクトリーブランドとして、数年前から
この極東の地でも見ることが出来るようになったのが、
Francis Campelliというブランドのいきさつになります。
伝統的なゴム引きコートのニュアンスを残しつつ、ハイテク素材に切り替え、
モダンなシルエットやデザインで表現したマッキントッシュコート。
代表的なモデルとしてご用意したのが↑になりまして、
オーバーコートというよりかは、ジャケットコートと呼ぶ方が相応しそうな、
シャープでスタイリッシュなヴィジュアルをご覧頂けます。
現地のラインナップにはなかった、デタッチャブル・取り外せるフード付きの、
国内限定の“フードコート”なのは、個人的にも歓迎しているポイントです。
商品ページのほうで気付いた範囲でのディテールには触れていますので、
ご一読ください。
フード裏や背裏のアイキャッチになるタータン=マッケンジー、
金属製の鳩目(メッシュ仕様!)、
ミリタリーテイスト満載なチンガード付きのフード(左右どっちもイケる2WAY!)など、
感涙モノのディテールは、他のアイテムを寄せ付けない
ブリティッシュスタイルならではなところだと言えるでしょう。
それ以外でも細かな部分の気配り、
力(ちから)ボタンの存在やサイドベンツのスリット、
前振りでの袖付けなどは、テーラード畑育ちの自分からしても
納得出来るポイントとして、お伝えしておきたいところです。
ヴィジュアル面に一区切りつけ、メインディッシュに取り掛かります。
“ネクスト・ラバーライズ”への回答、ダブル テクスチャー コットン。
表裏のコットン地の間にゴムではなく、ポリウレタン素材を挟んだ
ボンディング構造になるコチラ。
ゴム引き生地のデメリットで真っ先に挙げられるであろう、
『洗えません』という事実。
私も試したことはありませんが、剥離が起こるのは容易に想像できます。
何世紀にも渡る崩れない壁は、21世紀になってようやく倒壊。
↑で見られるヨーロッパの品質絵表示の中で、
“P”のところにバッテンがされてません。「ドライクリーニングOK」の証しです。
ゴム引き問題が解消された、エポックメイキングな出来事として、
後世に名を残すことになるでしょう。
ちと大げさな言い回しですが(・・)、
『マッキンが洗濯に出せる』
という事実は、私にとっては目からうろこでしたので。。
再びの私物開陳、別角度から。
私もこういうものだと思い、枕を濡らすことはもうありませんが、
数年で寿命を迎えたので、比較画像として掲載。
ゴム引きのデメリットは洗えないに加えて、シール加工に使われているテープが、
経年で剥がれてしまいます。
おそらく現在ではそういうことも少なくなっているでしょうが、
昔のモノだと避けられなかったところでしょう。
私も早いうちに再加工してもらえば良かったのですが、
ほったらかしにしていたうちにテープは剥がれ、
しまいにはポケットの袋地も消えておりました。。本気で欠落していた。
数枚持ってしまったコートたち、マイ・ヘリテージとして絶賛保管中です・・
その点、Francis Campelliのコートはテープは使っていませんし、
ゴム引きの硬さが全くなく、ミシン掛けもたやすいことも手伝い、
フルステッチング=すべての接合面がきちんと縫製されています。
マッキンで心当たりのある方には朗報だと言えますし、
当時の高額が今や超高額のハイラグジュアリーアイテムと化した手前、
このプライスがお値打ちにさえ思えてくるのは、正しい見立てなはずです。
今のマッキン、この倍はするからね。。いや倍どころじゃねぇか。。
入れ込んだおかげで、当初の目論見どおりとなった本日のブログ。
いかがでしたでしょうか?
当店では数少ないハイプライスなアイテムですが、
今回なぜ取り扱いに至ったかと言うと、
『自分のルーツに関わっているアイテムのひとつだから』
です。
憧れだったブリティッシュスタイルに通じる靴やアウター、ニットなど、
手に入れて現在まで着ているモノもある反面、手放したものも数知れず。
その中で比較的滞在時間が短かったアイテム、
今日のブログの流れからして、お察し頂けるんじゃないかと思います。
ようやく苦い思い出を超えられるコートをご紹介することが叶った、11月の初旬。
様々なアウターが世の中には存在しますが、
紳士のルーツ的なアイテムは、意外と触れられることが少ないかも知れません。
判断に迷ったときのガイドの役割に、今日の投稿がお役に立てれば幸いです。
宜しくお願いします。