duffel coat(ダッフルコート)特集
ダッフルコート
ダッフルコートには、クラシックなオーバーコートで唯一フードが付いています。 この頭部を保護する形には長い歴史があり、青銅器時代にまで遡ることが出来ると言われています。 「ダッフル」とは元々、ベルギーの都市デュフェル(英名:ダッフル)で製造されていた粗紡毛織物に由来します。 メルトン生地のダッフルコートが文献に現れだすのは18世紀のことで、デザインの起源としては、19世紀前半に流行した トグルで前合わせを留める“ポーリッシュコート”説や、フードの存在からの“修道服”説などが有力なようです。 このようなフード付きのケープ・マントの類いはヨーロッパ各地に存在しましたが、とりわけスカンジナビア半島、 いわゆる北欧では防寒・労働着として必須のオーバーコートでした。 イギリス海軍の艦隊がかの地に寄港した際、そこで働く漁師の衣服を持ち帰ったことから、軍内に普及することになります。 本来は漁師や港湾関係者の防寒着なため、ループは漁で使う漁網、トグルは浮き(浮子)を再加工したものが利用されていました。 ここから他のオーバーコートと同様に、軍服=ミリタリーウェアを経由し、紳士服の分野へ進出するという変遷をたどることになるのです。 第2次世界大戦において、モンゴメリー英国陸軍元帥が、ベージュのダッフルコートを着用していたことから人気に火が点き、 終戦後、余剰在庫品が大量に市場に放出されていったことで、一般的なオーバーコートへと認知されていきます。 その過程において生まれたのが「Gloverall」や「OLD ENGLAND」であり、戦前から続く「Tibbett」といった老舗ブランドによって、 現在に至るまでの長きに渡り、カジュアルなオーバーコートとしての定番の地位を築き続けています。