FilMelange “CLIFTON”
FilMelangeの「CLIFTON」をご紹介します。
強引な括り方をすると、『春夏はコットン。秋冬はウール』ということで、
毎シーズン豊富なヴァリエーションを誇る、FilMelageのラインナップ。
当店も基本に忠実なスウェットやTシャツ、ボトムス他を
欠かさずご用意していると共に、やばいなコレ...といった
私の思い入れを反映させた、オノ枠(?)なるものによる、
提案性のあるコレクションも選んでいます。
当時の展示会の様子を振り返ってみると、
『え?アレ?これって・・・キテるねぇ~』
というやや大きめな独り言で、
毎度ながら担当氏を困らせてたようにも思いますが、
未知との遭遇であれば、人というのは言葉にならない
何かを発してしまうものです。
あの時の興奮を思い返しながら、順々に見ていきましょう。
まずは「カセンティーノ」ということで。
商品紹介のページでも簡単に記していますが、
「イタリア・トスカーナ地方の伝統的な毛織物で、
ナッピングウールとも呼ばれる“毛玉”が特徴」
として知られる、冬の重衣料界ではよくよく知られた存在です。
あえて毛玉を作ることで、生地の厚みと熱を貯めこむ層を確保、
防寒&防水を備えた織物ということで、古来から珍重されていた素材。
自分の中では、
『富豪がオーダーで贅を尽くして作らせたコート』
という、偏った?捉え方で見ていたものですが、
ここ数年はよく見かけるようになりました。
“テーラードの世界では”という注釈付きですが。
FilMelangeではそんなドレス寄りの素材を使って、
あえてのカジュアルアイテム=ブルゾン(スタジャンですね)を提案。
モノホンのカセンティーノですと、はっきりとした毛玉感が魅力なのですが、
『部長、そろそろ新しいの買いましょーよー』
と言われかねない危うさも、また魅力(?)です。
↑でご覧頂ける限り、極端な毛玉感を思わせるものではなく、
冬の素材として身近な“フリース”を連想出来るもの。
ブランドでも「カセンティーノ フリース」と銘打っているだけに、
双方の良さを思い存分に味わって頂けるようになっています。
ここ数年注目を集めているアウターに挙げられている、
いわゆる「スタジャン」。
身頃メルトン・袖レザー・スナップボタンにデカいワッペン...etc
おおむねそのようなイメージのブルゾンです。
FilMelangeのブルゾン・CLIFTONでは、
スタジャン的なヴィジュアルを踏まえつつ、ハードなアメカジ臭を感じさせない、
スマートさというのが特徴だと思います。
こまかなディテールは商品ページでご覧頂くとして、
自分としてはririジッパーとスナップとの2WAYフロントや、
前立ての裏地やポケットの袋布で使われているウールサキソニーなんかに、
非常に親近感を覚えます。
『おやおやスタジャンなのに、こんなドレス寄りの生地持ってきちゃうのね...』
カジュアルスタイルのアイテムなはずなのに上品な印象を強く抱くのは、
そういう素材(カセンティーノ&サキソニー)選びにあるはずです。
自分のドレス心を震わす、好アイテムだと言えます。
あーだこーだ言ってきてますが、最も目を奪われてしまうのは、
やはりその色合いではないかと。
「ウェッジウッドブルー」。
これに尽きるのではないでしょうか。
ウェッジウッドと言えば、結婚式の引き出物的なイメージ
(あくまでも自分の印象)ですが、
元を辿れば創業250年を超える、イギリスが誇る超老舗な高級食器メーカー。
自分もイヤープレートがさらっと飾ってある優雅な生活に、憧れがあります。
身近にはいませんが。
そのウェッジウッドと言えば、独特な淡青色が代表的な色合いで、
ブランドカラーとしても知られている、ブルー好きにはたまらないもの。
イタリア発祥の素材を、イギリスに由来する色合いで表したCLIFTON。
なんとなく気品を感じる様子は、そんなところにあるはずです。
スタジャンに由来しているであろうCLIFTONですが、
自分の感覚として
『抜群の色合いを楽しむブルゾン』
という、アメカジ的な気負いを感じさせないアイテムとして
捉えています。
もっとやわらかく、ふんわり身体を包み込むような
あたたかいブランケットを身にまとう、
そんな曖昧なイメージです。
ちょっと調べた限りですとこのCLIFTON、
取り扱い店舗も多くないようでして、
特にこのウェッジウッドブルーはあまり見ないような...
少なくともルックブック(ミニカタログ)では洒落た感じで
載っているだけに、もっと広く知れ渡って欲しい気も。
その着心地のやわらかさと共に、男のコレクション欲をくすぐる
希少価値も備えてしまっているブルゾン。
暗い冬空の下、町を彩るようなアイテムとして、
袖を通して頂けると幸いです。
宜しくお願いします。