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イングランドとフランスの間 ~ ガンジーセーター物語 ~
フランスに程近い、イギリス領ガンジー島にはニット繊維工業の長い伝統が存在します。
16世紀、この島はニット製品を王室に献上することと引き換えに、イングランドから羊毛を輸入する許可を得ました。王室内でもその品質は珍重され、スコットランドのメアリー1世が処刑されるときに身に着けていたストッキングが、ガンジー島からの献上品だったと言われているなど、ガンジー島で製作されるニット製品の、その品質の高さを示すエピソードは多々挙げることが出来ます。
本物のガンジーセーターは、英国のウェステッドヤーンを使ったものだけであり、当然のことながらフルファッション製法で作られ、最後は人の手によって仕上げられる。つまり、ニットの各パーツをそれぞれ編み上げてから、手仕事で縫い合わせる製法が用いられます。
19世紀には軍用として採用されるようになりますが、この提案をしたのがかの有名なネルソン提督であり、カナダに駐屯する兵士のための防寒着として装備に加えられ、海軍指定の衣服としてその名を轟かせることとなります。
ガンジーセーターの編み地は伝統的なパターンを元にされており、それぞれの家庭ごとに幾世代にも受け継がれているものです。そのモチーフは漁師たちの日常生活を反映しており、袖のリブステッチ(ゴム編み)はロープや船のはしごを、かぎ針で編んだ肩の接合ラインはロープ、袖ぐりのガーターステッチ(編み)は浜辺の波を表現しています。動くときに邪魔にならないよう袖下に付けられたマチは、腕を下ろしている際にはマチが折り畳まれることで、ジャケットの下にも着ることが出来るなど、機能上の理由から施されたデザインやディテールが見てとれます。
伝統と実用性を完璧に両立させた衣服=ガンジーセーターが多くの国々で今なお愛される理由も、天然繊維の持つ能力・機能性を伝統的な製法で余すことなく享受出来る点にあると言えます。先人たちから脈々と受け継がれた知恵や意思を感じさせてくれるもの、それがガンジーセーターの真の魅力ではないでしょうか。

