LE TRICOT DE LA MER “Fisherman Smock”
LE TRICOT DE LA MER “Fisherman Smock”
LE TRICOT DE LA MERの「フィッシャーマン スモック」をご紹介します。
半年に一度ほどでしょうか?
謎に満ちたアイテムが届いてしまう、そういった出来事に遭遇します。
『遭遇するって、アンタが頼んでるんでしょう?』、
もっともなご指摘です。。
世界各地で着られているものが、極東の地にやってくることの素晴らしさ、
そんなことを思いながらまじまじと眺めていましたが、
1月入荷がなぜか3月になったという、陰謀説への怒り(?)も
あったことから、ディスりごと(ディス+独り言)を発していたようにも。
ただ冷静に考えれば季節性の強いものでもなく、今日の天候は雪模様・・
ご紹介が遅すぎることもないでしょう。
それでは駆け足で、このミステリアスアイテムを見ていきます。
出典:民明書房 “ガーメント大全”より
「スモック」は商品ページでも触れていますように、
伝統的なワークウェア・作業着のひとつです。
端的に言えば『上っ張り』でして、農村で着られていたものが
各フィールドに派生していきます。18世紀以降のお話し。
洋服というよりかは、もっと原始的な衣類=上衣で、
イギリスのある地方では、“slop(スロップ)”の名で呼ばれていたりします。
↑のように漁師の方はもとより、画家や彫刻・陶芸家などの
アーティストの方にいたるまで、ヨーロッパでは古くからの
作業着として、ポピュラーで身近な存在として知られています。
↑この画でおおよその雰囲気をつかんで頂ける方もいらっしゃるでしょう、
根底にある「ガンジーセーター」との共通点。
日本で展開されているLE TRICOT DE LA MER、
今ではそのほとんどがガンジーセーターのみになっていたはずですが、
こちらのスモックもそれにならってのモノ。
あちらがウールに対して、こちらは綿100のツイル地で作られています。
素材としてはチノクロス(イギリス的だとコットンドリルか)とほぼ同義で、
厚みを感じないやわらかな質感ということもあり、
ゴワゴワした扱いづらさはないはずです。
正統派のガンジーセーター作りが評価されているル トリコ(以下略)だけに、
スモックも似たようなデザインの提案になります。
ノージェンダー・ノーエイジ・ノー前後…
ご覧頂けるように、前後ろ関係なく着て頂けます。
こちらのポケット、サイクリングシャツが念頭にあったとのことで、
バックポケットの意味合いで付けられているはずです。
ただ前後の差がなく
(一応襟裏にタグ付いてますが、取っ払っても構わないでしょう)
後ろより前にポケットあったほうが使える・デザインとして許容範囲と
見られる方には、お好きなほうでかぶってみてください。
自分は断然『前ポケット派』ですが。。
作業着的ミニマルさが信条なだけに、デザインもいたってぶっきらぼう。
ガンジーセーターを思わせるような↑の生地(切り替え)がくっ付いていますが、
機能的には?…
この謎めいたディテールは、今後の捜査課題です。
それより面白いと思っているのが、
肩線(肩のところで前後を合わせる縫い目)がないとこ。
コレ、こういうことだからですよね。
『誰だよ、こんな粗末な落書き描くヤツは・・』
ノークレームでお願いします。
その辺の布っきれを再利用していた経緯のスモックですので、
布の真ん中をくり抜くだけの、お遊戯的な作り方そのもの。
原始はこんな感じだったでしょうが、少しづつパーツや縫製箇所が増えてき、
今に至っているはずです。
モックネックな襟など、丸いところに直線のパーツを縫い付けただけに、
収まりの悪い、見事なゆがみっぷりなんかは愛嬌あるところかと。
アパレル的感性がほぼない分、“道具”としてのプリミティブな魅力が
より増している感があるのに、私などは郷愁を覚えます。
業務目的で着ようと思われる方は別にしまして、
ここでは「プルオーバーシャツの異種」として捉えて頂ければと思います。
昨今の情勢からしますと“ビッグシルエット”、
その文脈に乗っかるような形でのスタイリングをお勧めします。
ドロップショルダーにワイドな身頃、長めの着丈な具合は
なんか今っぽい感じなんでしょう。
シリアスな着方はリタイヤ後(あんのか?)にでも考えるとして、
それまでにはクタクタな質感になるよう、
今からガンガン着て・洗って・くたびれさせる=エイジングに勤しんでください。
お送りしてきたLE TRICOT DE LA MERのフィッシャーマンスモック、
いかがでしたでしょうか?
先日の大撮影会?当日に届きやがった手前、
女性陣の着用画像がないのは痛手ですが、こういうアイテムの性質上、
興味をお持ち頂ける方もいらっしゃると思います。
早めの更新に努めますので、しばしお待ちくださいませ。
前回のYarmoから続くワークウェアのご紹介になり、たいへん恐縮です。。
ただ例年、春夏だとフランスものの薫りが強いだけに、
このシーズンでのブリティッショ推し、個人的には新鮮味を覚えています。
新しい季節に向かっての装いのひとつに、
どうぞご覧になってみてください。
宜しくお願いします。