FUJITO Acer
FUJITOのデニム、「Acer」をアップしています。
商品のページにも記していますが、2002年から活動を開始したFUJITO、
当初はデニム1型のみでスタートします。
それまで培ってきた
『経験やノウハウを活かせるモノ・コーディネイトの基礎となるモノ
・世代や性別を問わず普遍的なモノ』
として生み出された自信作=Acerは、
長年の評判の良さから10年超経った今でも、
毎シーズンリリースされ続けているデニムです。
まさにブランドの“顔”とも言える存在、
それがこちらのAcerになるわけです。
いわゆる「ヴィンテージデニム」がそうであるように、
こちらのAcerもそれに準ずる生地を用いています。
旧型の力織機で織られた生地は、
組織が不均一でデコボコかつ綿の毛羽が残る風合いなもの。
通常の生地よりウェイトがある事から来る、
ゴツゴツとした武骨な表面の風合いが、
ヴィンテージ然とした佇まいです。
セルビッチ(赤耳。ここでは“桃耳”でしょうか?)や隠しリベットの存在、
太番手の糸による縫製なども、
ヴィンテージに通じるディテールだと言えると思います。
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と、ここまでいつもと同じような「モノ」的視点の沿った、
ウンチク寄りなお伝えに終始してきましたが、
やや行き詰ってしまいました。。。
というのも、ヴィンテージデニムの深遠な世界ともなりますと、
私お伝えしている程詳しいわけでもなく、本格的な愛好家とは
いささか埋められない溝のようなものを感じています。
リーバイスのあの年代のアレは~的なところも??
だったりしますが、そういうのは今回置いときまして、
最後までお付き合い頂ければと思います。
私なりに伝えられるところですと、
力織機というのは現在の革新織機(スルーザー織機)に比べて、
生産効率が悪い(6分の1程だとか)事から、
“量産出来ない=その分糸そのものにテンション(負荷)が掛からない
=風合いに富む生地が出来上がる”
といったところでしょうか。
この辺はFilMelangeでよく耳にする、「吊り編み機」で編まれた生地と
似たようなところがあるように思います。
一日で数~数十メートル(普通は桁がひとつ違います)
しか織れないためコスト高になる半面、
至福の質感につながっているのは、
お召し頂いている皆さんからすると、何となくご理解頂けるはずです。
だいぶ長い前置きになってしまいましたが(・・・)、
最も大切なポイントは↑のシルエットにあると思います。
浅過ぎず深すぎる事の無い絶妙な股上に、
きついテーパードやタイトな細さでない、
なだらかなスリムストレートと言えそうなシルエットは、
真っ当で無理の無いオーセンティックなものだと思います。
既にウォッシュを掛けてシュリンク(縮み)も済んだ状態ですので、
このまますんなりと穿いて頂けるようになっています。
ワンクッション程度で裾上げしてから穿いて頂ければとも
思うのですが、個人的には↑の右側のように、
裾上げせずに軽くロールアップして頂くのも面白いのでは?
と思っています。
野暮ったさと上品さのせめぎ合い(?)という、微妙なさじ加減が、
今の自分の気分だったりします。
シュリンクついでに関係してですが、
力織機で織られたデニムならではとも言えるでしょう。
↑でご覧頂けますように、見事なまでの『斜行』が出ています。
斜行というのはデニム特有の“ねじれ(よじれ)”でして、
真っ直ぐあるべきサイドシームが、生地の収縮によって
斜めにずれていく現象です。
一概にこれが出るから力織機で織られたもの、
とは言い切れませんが、代表的な現象として掲載しときます。
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取り急ぎお送りして来たAcer、いかがでしたでしょうか?
僕自身も、FUJITOというブランドで初めて見たのが
Acerだった(ような...)こともあり、このブランドを代表する、
まさに代名詞的アイテムであるということに、
異論はないように思います。
穿きこむことによる、セルビッジデニム特有の色落ちというのも、
もちろんお楽しみ頂けるはずです。
ブランドの顔であり、コーディネイトの核になるAcer。
FUJITOのファーストチョイスとしてこちらもお勧めします。
宜しくお願いします。